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メンバーストーリー
常に「なぜ?」を問いかけ、面倒くささをアイデアに変える
株式会社Anamorphosis Networks
代表取締役社長 炭谷 翔吾(すみたに しょうご)
同志社大学理工学部電気電子工学科を首席で卒業後、京都大学大学院情報学研究科へ入学。2016年より、株式会社 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)にて機械学習手法に基づくロボット制御の研究を行う。2018年AIの社会実装の必要性を感じ、株式会社 Anamorphosis Networksを創業。
現在は、先端技術を活用したソフトウェアの開発・提供・販売、AI技術を用いたシステム開発・産業効率化、研究開発の共創イノベーション推進、e-sports大会の運営などを手掛けている。
一般社団法人 学生esports連盟 理事長
高校時代:サッカーに熱中した“陽キャ”がリーダーシップを学ぶ
「高校生の頃は、本当に勉強をしませんでした。サッカーに打ち込み、体育祭では応援団長、クラスでは学級委員をやるような、いわゆる“陽キャ”でしたね(笑)。でもその頃から、仲間を引っ張って一つの目標に向かっていくのが大好きで、ここでリーダーシップの原体験を得たのだと思います。」
当時は自分から率先して周りを盛り上げる“リーダー気質”を自然と発揮していた炭谷。しかし、大学に進学するとそのエネルギーを勉強へとシフトさせていくことになります。
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大学時代:勉強漬けの毎日は朝6時起床、終電帰宅。電気工学との衝撃的な出会い、のめりこむ
「大学に入ってからは、一転して勉強漬けの毎日でした。自宅から大学まで電車で2時間。朝6時に起きて通学し、1限目から5限目まで授業を受け、図書館でバイトをしながら勉強。そして終電で帰宅して、また朝早く起きる……そんな生活でしたね。」
こうした日々の中で炭谷さんが強く惹かれたのが“電気工学”でした。もともと数学や物理が得意だったこともあり、「理論から実際の現象を説明できる」という電気工学の特徴に深く魅了されます。
「ほかの分野だと、実験結果から式を導くのが一般的なんですが、電気工学では数式をベースに物理現象を説明できるんです。僕にはすごく合っていました。ノートに書く文字は1字1字丁寧、直線を引くときは定規を使わないと落ち着かないタイプでしたから(笑)。そんな“理論的に組み立てる”学問だからこそ、どんどんのめり込んだんだと思います。」
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統計学の面白さに目覚め、大学院へ “AIを社会で活用する”ことの意義を感じる
「学部生の頃は、モーターを高効率に動かす研究をしていました。モーターって起動時に大きなエネルギーを使うので、そこをどう最適化するかを探っていたんです。その際、モーター内部の状態はセンサーを付けても全部は見えないので、統計学を使って“推定”しました。」
“見えないものを数理的に捉える”という手法に大きな可能性を感じ、炭谷さんは大学院への進学を決意。京都大学と「株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)」の連携講座に参加し、AIとロボットを融合させる研究にのめり込んでいきます。
「具体的には、人型ロボットの動きをシミュレーションで作り、実機に再現する研究をやっていました。AIの予測技術と統計学を掛け合わせて、どこまで人間の動きを真似できるか。ダイナミックな挑戦を通じて、“AIを社会で活用する”ことの意義をますます強く感じたんです。」
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人生の転機:教授の道を捨て、“AI社会実装”を目指して起業へ
「もともと大学教授になりたいという気持ちがあったんですが、大学院2年生の時に『教育事業で会社をおこしてみないか』と声をかけていただいたんですね。正直、心が揺れましたね。でも僕が本当にやりたかったのは“AIで社会課題を解決すること”。そこが一致しなかったので、お話はお断りしました。」
とはいえ、この誘いによって「起業」という選択肢がリアルに浮かび上がります。リーディングプログラムというリーダー育成のプロジェクトに参加し、起業の方と話をして社会課題を解決する研究を行っていました。その中で聞いた”外観検査の自動化”を画像検査システムの技術開発をすることから始めました。
「製造現場では“検品作業を自動化できないか?”といった声が多く、AIの力で課題解決できるチャンスがあると感じたんです。そして大学院在学中に、株式会社Anamorphosis Networksを立ち上げました。ここで教授プランから起業プランへと、道が狂い始めるんですね(笑」
経験豊富なベテランの力も借りる ビジネス経験は“人”で補う
「起業当初はやはり苦労しました。僕も含めて、最初のメンバーは社会人経験がほとんどなく、見積書や商談の進め方もわからない。そこで、富士通で新規事業を担当していた方や、商社で営業をしていた方など、60歳前後のの経験豊富な方々を採用したんです。」
若手が研究開発を担い、ベテランたちから経営や営業のノウハウを学ぶ──この体制が、Anamorphosis Networksの成長を加速させました。
「“モノを売るんじゃなくて、課題解決を売る”という営業の基本は、ベテラン勢から教わった大切な考え方です。外観検査装置そのものを販売するのではなく、お客様が抱えている問題にアプローチするソリューションとして提案する。このスタンスが今でも会社の軸になっています。」
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多岐にわたる製造業界で「AIソリューション」を展開
現在、当社は食品メーカーや電子部品メーカー、日用品の製造現場など、幅広い企業に向けてAIを活用した外観検査や工程管理ソリューションを提供しています。
「製造業とひと口に言っても、扱うものが本当に多種多様なんです。だからこそ、AI技術を使って解決できる課題がいろいろ存在する。これまで学んできた統計や制御の知見を総動員しながら、お客様のニーズに合わせて最適な提案をするのが楽しいんですよ。」
求める人物像:常に「なぜ?」を問いかけ、面倒くささをアイデアに変える
「私たちが大事にしているのは、“理由を説明できること”ですね。『こう考えました』『だからこうします』と、自分なりの“なぜ”を持って行動できる人に来てほしいです。指示を待つだけでは、新しい技術やサービスは生まれませんから。」
もう一つのキーワードが「面倒くさがり」。一見ネガティブに聞こえますが、炭谷はこう付け加えます。
「面倒くさいことを嫌うからこそ、『じゃあ自動化しよう』『もっと効率良くしよう』って発想になるじゃないですか。そんなズボラ精神をプログラミングやシステム開発に活かせる人は、当社での仕事を面白く感じられるはずです。」
さらに、ChatGPTなど最新のツールを活用することで、ソリューション開発のスピードは格段に上がっています。新しいもの好きな人なら、試作を繰り返して“ヒットするサービス”を生み出す面白さを存分に味わえるでしょう。
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「個人の市場価値」を高める仕組みをつくりたい
「システム開発の世界では、誰がどの部分を作ったのか見えにくい面があります。そこで当社では、メンバーそれぞれの貢献をきちんと可視化して、市場価値を高められる仕組みを整えていきたいと考えています。Webなどで『この部分はこの人が作った』と公開していけば、その人の評価やキャリア形成に役立つはずです。」
努力や成果が正しく評価される環境をつくることが、技術者のモチベーションを高めるうえでも重要だと炭谷は語ります。起業家でありながら研究者としての誠実さも感じさせる姿勢です。
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家族の時間と“ゲーマーな一面”──身近に感じられる父の顔
「実は、休日は子どもたちを連れてゲームセンターへ行き、『ポケモンフレンダ』に熱中しています。『アイプリ』も一緒にやってますよ(笑)。3人の子どもがいて、一緒にゲームをするのがちょっとした癒しですね。」
普段は最先端のAI技術を開発しつつ、オフの日は家族でゲームに夢中になる。さらに、子どもたちには「お手伝いや勉強をすると報酬が得られる仕組み」を取り入れているそうです。
「家では学習教材をパソコンで進めていて、『頑張って成果を出せば報酬がもらえる』という体験を味わってほしいんです。強制はしていませんが、子どもたちが進んでパソコンに向かってくれるのは嬉しいですね。」
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来客があると「なに飲みます?」とドリンクをおすすめ。何が出てくるのかお楽しみに。
理論だけではうまくいかないこも多い、失敗を恐れないで欲しい
数学って理論が先行しがちですが、実際にものを作るときは、理論だけではうまくいかないことも多い。例えば、電気回路を設計していたときのことです。高電圧の反転増幅器を作ろうとしたのですが、理論通りに組んだつもりが、実際には爆発してしまいました(笑
「そのとき初めて『理論ではこうなるはずなのに、実装上はこうなるのか』と身をもって理解しました。会社ではその失敗談をからかわれましたけどね(笑
でも、この経験があったからこそ、実際に動くものを作ることの難しさを知りましたし、設計と現実のズレを埋めるにはどうすればいいのかを考えるきっかけにもなりました。」
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当社に興味のある方へ:一緒に「新しい未来」をつくろう
「僕自身、高校時代はサッカーに没頭し、大学・大学院での研究、そして起業と、常に新たなステージにチャレンジしてきました。AIやロボットに興味がある人はもちろん、『面倒くさいことを解消したい』『最新テクノロジーでイノベーションを起こしたい』という人にも、ぜひ当社の扉をノックしてほしいですね。」
Anamorphosis Networksは、製造業界の現場をAIでアップデートするスタートアップ企業です。あなたのアイデアや技術が、あらゆる産業の未来を塗り替えるかもしれません。炭谷や若手メンバー、そして経験豊富なベテラン勢がいる環境で、“研究×社会実装”の最前線を一緒に走ってみませんか?
「リーダーシップは“陽キャ”な活動から始まるかもしれないし、几帳面な性格から始まるかもしれない。でも、一歩踏み出してみないとわからないことがたくさんあります。失敗を恐れずワクワクしながら、新しい未来を一緒につくっていきましょう。」
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